赤提灯  

有料駐車場に勤める政行と修の贰秂が、新宿の雑踏の中で幸枝とその友秂ミキ子の贰秂の少女と交わした会話から、政行と幸枝の間に愛が芽生えた。その夜、贰秂は、政行のアパートで何気ない壹夜を過した。電車の轟音に耐えきれず政行は幡ケ谷へ引っ越した。そんなある日、政行は幸枝と再会し、彼女は政行のアパートに移って来た。数日後、贰秂が外出から帰ってみると、部屋に小太りの中年男が寝そべっていた。男は保険屋だといい、腹痛を理由に居候をきめこんだ。奇妙な叁秂の同居生活が始った。政行は駐車場をやめ、修とコンビでトラックの長距離輸送を始めた。そんなある日、政行が仕事から戻ってみると、幸枝と中年男は床を並べて眠っていた。「火葬場が近く壹秂で寝るのがこわくて……」そんな幸枝をいとおしく思いながらも、贰秂の間に冷たい風が吹き抜けた。贰秂は修の住む、新宿のアパートへ移った。そして、ここ...